アイドルはこっちを向かない
「2階まで見えてるよ。」
「ファンのみんなのおかげ。」
「これからもプロデュースよろしく。」
アイドル達はいつだって私たちに語りかけてくるけれど、私自身は見ていない。
直接的なファンサをもらう瞬間も、私自身を通してその人の「ファン」という集団を見ているように感じる。
アイドルと私の関係はどこまで行っても商品とその消費者でしかない。
これは、最近SideMの引退の話をよく聞くこと、周年ニコ生であった今後の展開のこと、自分のジャニーズ現場でのこと、自担のグループ活動とソロ活動とそれに対する様々な意見、脱退メンバーの受け止め方、Jr.の推しがデビューできないこと、その他いろいろなことを総括して自分が考えたことの備忘録です。
アイドルはファンが存在しないと活動できないが、そのファンが自分でなければならない理由はない。
ソシャゲで一番課金していた人が引退してサービス終了の危機になることはあるらしいけど、自分がファンをやめたからアイドルが引退することはまず無い。
それでも私たちは、アイドルが自分を見ていると錯覚する。アイドルはファン一人ひとりを見ているように演出する。
その最たる例が2次元アイドルだと思う。この世に実在しないながら、その作りこまれた設定、情報公開のタイミング、声優が行うライブではキャラクターとオーバーラップするように感じられる演出などからあたかも実在するように思わせる。私自身がプロデュースしている感覚を引き起こす。実在しないアイドルの意思を感じさせる。SideMのプロデューサー感。
ファンの自分が望む展開を実現させたいからそのコンテンツにお金を落とす、というのは正しいのだろうか。お金を落とさなければなにも始まらない。しかし、自分の希望と同じものを持っているファンが一人もいなかったなら、どれだけお金を出したってその希望は叶わない、と思う。実際は知らないけど。
結局どんな売り方、展開の仕方かは、アイドル本人のしたいことによる。
アイドルがファン全体の要望をくみ取って、より多くのファンが喜ぶようにと展開している。
その結果、自分ひとりの要望と一致する可能性が高いだけ。
実際は、ファンの要望の全体像はファンには見えにくいのかもしれない。SNSとかでバズる意見が多数派とは限らない。無言で購入する人、ご意見フォームやはがきを送る人の数は見えない。
アイドル本人たちは動員数や売り上げ以外にも様々なデータを持っているだろうから、少なくともファンよりはるかに自分たちが求められているものが見えていると考えられる。
ファンの多数が願っても実現しないことも多い。
例えば、今いるJr.全員を一斉にデビューさせることはできない。
アイドルの活動は、アイドル本人とファン以外に、運営する会社や事務所が必ず存在する。これがあるからもめる。
この存在の見せ方もすごく難しい問題だと思う。
ファンの要望とアイドルのしたいことが一致していたとしても、会社や事務所の方針とかいろいろでどうにもならないこともある。そこは納得したい。難しい。
でも46人で2期してほしい~~~~! 推しデビューして~~~~!
それを踏まえたうえで、需要を理解して会社や事務所の制約の中で最大限その需要にこたえるアイドルは本当に賢いと思う。どう動けばファンの多くが喜ぶかを理解して常に冷静にその要望に応えていくのは天才的ですよ。優しいのか冷たいのかわかんない。
ファンは消費者である以上、自分個人の要望はほかのファンの要望とまとめられて、ファンという集団に対してレスポンスが帰ってくる。私にくれたファンサは「ファン」の1人である私にくれたファンサ。
こんな考えでもめちゃくちゃ好きなの頭おかしいとしか言えない気がするけど、私は彼らが好きだし、需要と供給が一致していると感じているのでまだターゲット層にいるんだと思う。
今はまだ多くのファンと同じような考えを持っているからそれにこたえてくれるアイドルたちを応援できているけど、ずっとそのままでいられるわけじゃない。
自分が需要と供給の関係から外れてしまうまでは、消費者として、アイドルから離れられない、と思う。
こんな奇妙な好きしか投げかけることができないけど、彼らは私のものじゃないから、こっちだけを向いたりしないでほしい。ずっと「ファン」を見ていてほしい。そんな彼らが好きだから。